ポケットメディカ健康相談
ラ行
本書に掲載している薬用語,副作用のうち,聞き慣れないものを中心に解説しています。【初】=初発症状(初期に現れる症状)を示します。
■ラ行
●ライエル症候群(=中毒性表皮壊死(えし)融解症=TEN)
らいえるしょうこうぐん(=ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう=てぃーいーえぬ)
全身の広い範囲の皮膚に紅斑様の発疹が現れ,水疱・びらんを伴う。眼,口,外陰部などの粘膜ばかりでなく,上気道,消化管粘膜にも高度のびらんがおこる重篤な疾患。原因はウイルスや細菌感染以外に,薬剤アレルギーの重症型である場合が多い。皮膚のびらんが体表面積の10%未満であれば☆スティブンス-ジョンソン症候群★(=皮膚粘膜眼症候群)▼前出▼,10%を超えるものを本症とする。
【初】皮膚が赤くなってヒリヒリする,口内粘膜がおかされる,水疱ができる,発熱
●ライ症候群
らいしょうこうぐん
主に小児にみられる急性脳症のひとつ。脳浮腫,全身の臓器とくに肝臓の脂肪変性,黄疸を伴わない☆肝不全★▼前出▼,高アンモニア血症,☆低血糖★▼前出▼などが急速に進行する高死亡率の病気。かぜ症状に引き続いておこることが多いとされるが,はっきりとした原因は不明。なお,誘因となる疑いから,15歳未満のインフルエンザや水痘などウイルス感染症の解熱にはアスピリン類(サリチル酸系製剤)を使用しないよう勧告されている。
【初】発熱,下痢,嘔吐,けいれん,意識障害
●緑内障
りょくないしょう
眼圧が上昇して視神経が障害を受け,視機能障害をおこす病気。眼のなかには血液の代わりとなって栄養などを運ぶ房水が流れていて,その量が眼圧を決めている。何らかの原因で房水の産生と排出がアンバランスになると眼圧が高くなる。ただし緑内障には多くの病型があり,眼圧が正常でも,視神経が圧力に耐えられない場合にも異常がおきるとされ,日本人には眼圧が正常範囲のタイプ(正常眼圧緑内障)が多い。
【初】明かりに虹がかかる,目がかすんだりにじんだりする,まぶしい,頭痛,目が痛む
●類天疱瘡(様皮膚病変)
るいてんぽうそう(ようひふびょうへん)
体中の皮膚にかゆみを伴った紅斑と,そのなかに大型の水疱が出てくる病気で,免疫機構が自分の皮膚を攻撃してしまう自己免疫疾患。水疱が破れたあとのただれは治りやすいのが☆天疱瘡(てんぽうそう)★▼前出▼と違うところ。また,口のなかなどの粘膜がただれることは少ない。
【初】強いかゆみ,赤いぶつぶつ,水ぶくれ(環状のことが多い)
●ループス様症候群
るーぷすようしょうこうぐん
ループスとは狼瘡(ろうそう)(狼に咬まれた傷)の意味で,ループスエリテマトーデス(=紅斑性狼瘡=LE)は,頬などの露出部に特徴的な赤い斑点(紅斑)が現れ,徐々に広がる病気。薬剤が原因で症状が現れ,その薬剤の中止によって回復するものをいう。
【初】関節痛,筋肉痛,皮疹
●レイノー症状
れいのーしょうじょう
四肢の先端の小動脈が発作性に収縮(れん縮)することでおこる。最初は手指が白い蝋(ろう)のような蒼白色または紫色(チアノーゼ様)に変わり,10〜30分の経過で回復すると逆に充血して赤色に変化して正常に戻ることが多い。しびれ感や疼痛などを訴える場合もある。レイノー症状の原因となる疾患は膠原病(こうげんびょう)をはじめ多数あり,原因となる疾患がないものをレイノー病とする。
【初】手足が冷たくなり,変色して蒼白くなる
●レチノイン酸症候群
れちのいんさんしょうこうぐん
ビタミンAは,化学的にはレチノイドと総称され,レチノール,レチナール,レチノイン酸などを含めていう。レチノイン酸はレチノール(狭義のビタミンA)の☆誘導体★▼前出▼で,皮膚の保全のほか,制がん作用も示す。薬剤として使用する際の副作用(過剰症)がレチノイン酸症候群で,発熱,呼吸困難,胸水貯留,肺浸潤,☆間質性肺炎★▼前出▼,肺うっ血,☆心のう液貯留★▼前出▼,☆低酸素血症★▼前出▼,低血圧,☆肝不全★▼前出▼,腎不全,及び多臓器不全までを引きおこすことがある。
【初】発熱,胸や背中が痛い,気分が悪い,頭痛,息苦しい