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医者からもらった薬がわかる本
医者からもらった薬がわかる本
タ行

本書に掲載している薬用語,副作用のうち,聞き慣れないものを中心に解説しています。【初】=初発症状(初期に現れる症状)を示します。

■タ行

●大腸炎
だいちょうえん
大腸におこる炎症の総称。感染性腸炎によるものや,薬剤性大腸炎,☆偽膜性(ぎまくせい)大腸炎★▼前出▼,☆潰瘍性(かいようせい)大腸炎★▼前出▼などがある。
【初】腹痛,水様性の下痢,吐きけ,発熱
●多発性筋炎
たはつせいきんえん
筋肉の障害(炎症や変性)により,筋肉に力が入らなくなったり,筋肉の痛みを感じたりする病気。多発性筋炎は膠原病(こうげんびょう)のひとつで,肺,関節,心臓,消化管など,他の臓器障害を合併することもある。
【初】体がだるい,力が入らない,うまくものが飲み込めない
●炭酸ガスナルコーシス
たんさんがすなるこーしす
体内に蓄積した炭酸ガスによる中毒の重症型。肺換気量の低下により高炭酸ガス血症となり,意識障害をきたした状態。
【初】起床時の頭痛,息苦しさ,不快感,めまい,不安,呼吸困難,脈が速くなる
●遅発性ジスキネジア
ちはつせいじすきねじあ
☆抗精神病薬★▼前出▼の副作用として出現するチック,けいれん性斜頸などの異常な不随意運動。若年者では四肢・体幹,高齢者では顔面に生じる傾向がある。
【初】舌や口のまわりがピクピクする,口をモグモグさせる,舌が回転する,舌を出し入れする
●中毒性表皮壊死融解症(=ライエル症候群=TEN)
ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう(=らいえるしょうこうぐん=てぃーいーえぬ)
全身の広い範囲の皮膚に紅斑様の発疹が現れ,水疱・びらんを伴う。眼,口,外陰部などの粘膜ばかりでなく,上気道,消化管粘膜にも高度のびらんがおこる重篤な疾患。原因はウイルスや細菌感染以外に,薬剤アレルギーの重症型である場合が多い。皮膚のびらんが体表面積の10%未満であれば☆スティブンス-ジョンソン症候群★(=皮膚粘膜眼症候群)▼前出▼,10%を超えるものを本症とする。
【初】皮膚が赤くなってヒリヒリする,口内粘膜がおかされる,水疱ができる,発熱
●腸間膜静脈硬化症
ちょうかんまくじょうみゃくこうかしょう
腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化によっておこる虚血性の腸病変。サンシシを含む漢方製剤の長期投与などで報告されており,重症例では腸管切徐に至ることもある。
【初】腹痛,下痢,便秘,腹部膨満感などを繰り返す
●腸管麻痺
ちょうかんまひ
腸管の蠕動(ぜんどう)運動が麻痺し,腸内容の輸送障害をおこした状態。原因は腹腔内の炎症,腹腔内出血が多いが,開腹手術後,電解質異常,薬物,肺炎,尿毒症,全身感染症なども原因になる。
【初】頑固な便秘,腹部膨満感,吐きけ・嘔吐,腹痛
●腸閉塞(様症状)〔=イレウス〕
ちょうへいそく(ようしょうじょう)〔=いれうす〕
小腸や大腸で腸内容物が詰まり,通過しなくなった状態。腸が圧迫されたりねじれたりしておこるものと,腸管の運動障害によっておこるものとがある。激しい腹痛と吐き気・嘔吐がおこり,発汗・頻脈(ひんみゃく)・顔面蒼白などの症状を伴うことが多い。
【初】腹が張った感じ,吐きけ,腹痛,頑固な便秘
●腸溶錠(剤)
ちょうようじょう(ざい)
腸に到達してから溶解するようにコーティングを施した錠剤。胃粘膜を刺激する薬物,胃酸に不安定な薬物,腸に高濃度に送り込みたい薬物などに採用される。
●TEN(=中毒性表皮壊死融解症=ライエル症候群)
てぃーいーえぬ(=ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう=らいえるしょうこうぐん)
全身の広い範囲の皮膚に紅斑様の発疹が現れ,水疱・びらんを伴う。眼,口,外陰部などの粘膜ばかりでなく,上気道,消化管粘膜にも高度のびらんがおこる重篤な疾患。原因はウイルスや細菌感染以外に,薬剤アレルギーの重症型である場合が多い。皮膚のびらんが体表面積の10%未満であれば☆スティブンス-ジョンソン症候群★(=皮膚粘膜眼症候群)▼前出▼,10%を超えるものを本症とする。
【初】皮膚が赤くなってヒリヒリする,口内粘膜がおかされる,水疱ができる,発熱
●TTP(=血栓性血小板減少性紫斑病)
てぃーてぃーぴー(=けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)
全身の細血管に血小板血栓が生じることにより,消耗性血小板減少による☆出血傾向★▼前出▼をはじめ,多彩な症候をきたす重篤な疾患。病態は,①斑状出血が多発する☆血小板減少性紫斑病★▼前出▼症状に加えて,②☆溶血性貧血★▼後出▼,③脳内微小血栓による精神神経症状,④発熱,⑤腎臓内血栓による腎機能障害の5つの症状を特徴とする。
【初】皮膚の出血斑・点状出血,歯肉出血,鼻血
●DIC(=播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群)
でぃーあいしー(=はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)
急性白血病・がん,☆敗血症★▼後出▼,重症感染症,☆劇症肝炎★▼前出▼,胎盤早期剥離(はくり)などの重症の基礎疾患の悪化に伴い,血管内で血液凝固系が活性化され,全身的に血管内で血液が凝固し,細小血管に多数の微小血栓を生じる病態。一方,さまざまな血液凝固因子が消費されて,強い☆出血傾向★▼前出▼が現れる。主要な臓器は循環障害に陥り,進行すると多臓器不全の致死的な状態に至る。
【初】出血しやすくなる,紫斑(あざ)ができる,下血,尿の出が少なくなる
●DMARD(ディーマード)
でぃーまーど
DMARD(抗リウマチ薬)はリウマチの原因である免疫異常を是正し,関節破壊の進行を防止する薬。☆関節リウマチ★▼前出▼の治療の中心は薬物療法で,なかでもDMARDはその中心となる。炎症を抑える抗炎症薬は,疼痛や腫脹の緩和を目標とした補助療法として使用する。
●低カリウム血症
ていかりうむけっしょう
血液中のカリウムは細胞のはたらきを調節するうえで重要で,その濃度は一定の狭い範囲に保たれている。濃度が低下する原因は尿や消化管からのカリウム喪失によるものが多い。カリウム低下で障害を受けやすいのは,筋肉(骨格筋や心筋),消化管,腎臓とされる。
【初】脱力感,筋力低下,悪心,嘔吐,便秘,多尿,多飲
●低血糖
ていけっとう
血中を運ばれる糖は,組織とくに脳細胞にとって重要なエネルギー源となるため,血糖値は常に狭い範囲で調整されている。正常域を外れて低くなって現れる低血糖症状には,冷汗,動悸,振戦(しんせん),いらいら感などがみられる自律神経症状があり,さらに血糖が低下すると頭痛,けいれん,昏睡(こんすい)などの中枢神経症状が現れる。
【初】目がちらつく,手足のふるえ,冷や汗,脱力感,ふらつき感,頭痛,寒け,意識がなくなる
●低酸素血症
ていさんそけっしょう
動脈血中の酸素含量が低下して,全身の組織が必要とするだけの酸素が不足している状態。各種の呼吸器疾患で生じる。
【初】起床時の頭痛,息苦しさ,不快感,めまい,不安,呼吸困難,脈が速くなる
●低色素性貧血
ていしきそせいひんけつ
酸素運搬を担うヘモグロビンは,分子中に鉄を含んでいるため赤色を呈する。ヘモグロビン量が減少した赤血球は低色素性となり,ヘモグロビン量の減少を伴う疾患群を低色素性貧血という。鉄欠乏性貧血が最も多い。
【初】顔色が悪い,息切れ,立ちくらみ,倦怠感
●低ナトリウム血症
ていなとりうむけっしょう
ナトリウムに対して相対的に水分が多い状態であり,必ずしもナトリウムの欠乏を伴わない。濃度の低下が著しいと,けいれんや意識障害が出ることがある。
【初】眠け,全身がだるい,筋肉がピクピクする
●低プロトロンビン血症
ていぷろとろんびんけっしょう
プロトロンビンは血液凝固第Ⅱ因子の慣用名。肝臓においてビタミンKが関与して作られるところから,肝疾患,ビタミンK欠乏によりおこることが多い。プロトロンビン活性の低下により☆出血傾向★▼前出▼をみる。
【初】鼻血,歯肉出血,体にあざができる,尿に血が混じる
●テタニー
てたにー
テタニー(筋の強縮・けいれん)の大部分は低カルシウム血症による。カルシウムは筋肉の収縮に重要な役割を果たしていて,血液中あるいは細胞外のカルシウム濃度が低下すると,神経の異常な興奮性によるテタニーが現れる。
【初】手足・口周囲の異常感覚,こむら返り,筋肉のけいれん
●伝染性単核球症(様症状)
でんせんせいたんかくきゅうしょう(ようしょうじょう)
EBウイルスによる急性感染症。発熱,咽頭・扁桃炎,頸部リンパ節や肝臓・脾臓がはれる症状が現れるが,一般には対症療法のみで軽快する。本ウイルスは世界中に分布し唾液で感染するところから,キス病という異名がついている。
【初】発熱,のどが赤くなる,頭痛,体がだるい
●天疱瘡(様皮膚病変)
てんぽうそう(ようひふびょうへん)
体中の皮膚にいろいろな大きさの水疱ができる病気。大きなただれを作るタイプの尋常性天疱瘡(てんぽうそう),小さな水疱ができて落ち葉のような落屑(らくせつ)になる落葉状天疱瘡など4種の病型がある。いずれも免疫機構が自分の皮膚を攻撃してしまう自己免疫疾患で,☆ステロイド★▼前出▼大量投与を中心とした免疫抑制治療を必要とする。
【初】強いかゆみ,赤いぶつぶつ,水ぶくれ(環状のことが多い)
●糖尿病
とうにょうびょう
糖尿病は,インスリン作用の不足により高血糖状態が持続する代謝疾患。インスリン作用の不足は糖代謝だけでなく,脂質代謝,蛋白代謝などにも異常をおこす。慢性の高血糖状態は,細小血管の障害(糖尿病網膜症),糖尿病腎症,糖尿病神経障害に代表される慢性合併症が高率におこる危険がある。
【初】のどが渇く,やせてくる,視力が落ちてくる,手足のしびれ,気力の低下
●洞房ブロック
どうぼうぶろっく
心臓を動かす刺激は,心臓最上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部位で発生する。洞結節から周期的に発生した電気刺激が心房全体に広がり,続いて心室に伝わる。洞結節の機能は正常でも,伝導障害で心房に伝導できない状態を洞房ブロックという。正常な心拍数が保持できなくなり,そのために心臓自体に負荷となるほか,脳,腎臓などの臓器の血流障害に起因する症状が現れる。
【初】動悸,胸部の痛み・不快感,めまい,脈が跳ぶ,失神
●毒薬
どくやく
致死量が少量で,危険性の極めて高いものとして薬事法に基づいて指定された薬物。
●トルサード・ドゥ・ポアント
とるさーど・どぅ・ぽあんと
☆心室性頻拍(ひんぱく)★▼前出▼の一種。心電図におけるQRS波(心室の興奮を反映する)が上向きと下向きのねじれた形で周期的に変動する。倒錯型多形性心室頻拍と訳される。この心室頻拍がおこると失神やけいれんが生じる。☆心室細動★▼前出▼に移行することが少なくない。
【初】動悸,胸部の痛み・不快感,めまい,脈が跳んだり速くなる,失神
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