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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内09:ビタミン剤と栄養補給・貧血・止血の薬
薬剤番号:内09-01-01~内09-06-06

■ビタミン,アミノ酸,ミネラルなど栄養に関連する薬と,止血剤として用いる内服薬を説明します

◆鳥目といわれる夜盲症(ビタミンA),脚気(B1),ペラグラ皮膚炎(B2),口内炎(B2・B6),悪性貧血(B12),壊血病(C),クル病(D)などのビタミン欠乏症に用いるビタミン剤
◆アミノ酸やミネラルの補給に用いる薬
◆鉄分の不足が原因の貧血に用いる鉄剤
◆鼻血,眼底出血,肺出血など体内での出血,出血傾向に用いる止血薬

■副作用・相互作用に注意すべき薬

 ビタミン剤には副作用がないとお考えの人が多いと思います。しかし,ご存じのようにビタミンには水に溶けるビタミン(B群,C)と,油に溶けるビタミン(A, D, E, F, K)の2種類があります。水溶性ビタミンが余分にからだの中に入った場合には,尿に溶けて体外に流し出されるだけですから,もったいないということですみます(医療費のムダという点ではまずいですけれど)。しかし脂溶性ビタミンの場合には,組織の中に蓄積されますので,過剰症が心配になってきます。
 日本ではビタミンEが治療薬としていろいろな使われ方をしていますが,英米では混合ビタミン剤としてのみ存在し,食事がとれないような場合のサプリメント(栄養補助)として使われています。それどころか,パブリック・シチズン・グループの医師シドニー・ウルフは,その著書『ワースト・ピルズ,ベスト・ピルズ』の中で,高齢者はビタミンEはとらないほうがよいと書いています。日本における実態とはかなりかけ離れていますので,よく検討する必要があります。1日に300mg以上のビタミンEを摂取していると,筋力の低下,疲労感,頭痛,吐きけ,高血圧あるいは血液の凝固促進が現れるとも書いています。
 鉄剤の過剰状態も気をつけなければいけません。吐きけや嘔吐があったり,腹痛や便中への血液の混ざりがあったら,すぐに処方医に連絡して鉄が過剰になっていないかどうかを調べてもらってください。

■薬剤師の眼
ビタミン剤を多用することの弊害
 日本ではビタミン剤が治療薬として処方されます。ビタミンB1は神経痛や末梢神経炎,心筋代謝障害の場合にも用いられてきました。その他のビタミンB群もそれぞれ理屈をつけて,皮膚病や神経炎,あるいは高コレステロール血症にまで使われています。欧米では食事がとれなかったり,吸収不良だったり,アルコール中毒のときのビタミン不足に使われるだけです。単味(単独)で処方されるのはまれで,総合的なマルチビタミンとして用いられます。
 日本の医療で薬が多く処方されるようになった原因が,ビタミンの多用にあったと考える人もいます。あまりシャープな薬がなかった時代に,健康保険でビタミンが治療を目的に処方されたからです。ビタミンだから「効かないにしても害はないだろう」と考えて,処方した医師もいたでしょうし,患者のなかにもそのように考えて服用した人もいたでしょう。いまだにビタミン信奉者があちこちにいます。ある意味では,ビタミン剤の多用が副作用に対する警戒心を薄れさせ,多剤投与を助長してきたといえなくもありません。

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