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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内07:胃腸の薬
薬剤番号:内07-01-01~内07-05-12

■食道,胃,十二指腸,小腸,大腸,直腸などの消化器系に作用する薬について説明します

◆胃・十二指腸潰瘍,逆流性食道炎,胃炎などに用いる,いわゆる「胃薬」
◆便秘,下痢などに用いる「お通じの薬」や整腸薬
◆吐きけ,食欲不振時に用いる消化管の活動をよくする薬
◆難病に指定されている潰瘍性大腸炎の薬,クローン病の薬
◆過敏性腸症候群に用いる薬

■副作用・相互作用に注意すべき薬

◆ヒスタミンH2受容体拮抗薬
 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療に新しい時代をつくったH2ブロッカーのうち,日本でよく処方されるのは,シメチジン,ラニチジン,ファモチジンです。
 これらの薬剤の副作用のうちで一番注意しなければいけないのは,初期症状として全身倦怠,脱力,皮下・粘膜下出血,発熱などを伴って発生する再生不良性貧血,無顆粒球症,血小板減少などの血液障害です。それに,比較的長期間にわたって服用することになりますので,肝機能検査を定期的に受ける必要があります。特殊な副作用として,男性における女性様乳房や脱毛が報告されています。
 胃酸は夜間に多く分泌されますので,1日1回の服用の場合は寝る前にのむようにします。

◆ピロリ菌の除菌
 胃潰瘍や胃がんの原因にもなるといわれるピロリ菌は,日本人の半数(50代以上に限れば70%)が保菌者ですが,そのすべての人が胃潰瘍・胃がんになるわけではありません(感染者のうち数%ともいわれています)。また,胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃炎などの適応の病変がなければ,保菌者だからといって必ずしも保険の対象となるわけではありません。しかし,ピロリ菌に関する専門学会である日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは,保菌者はすべて除菌することを強く勧めています。
 除菌は2種類の抗生物質と胃酸を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)を7日間服用することになりますが,PPIへの注意とともに,使われる抗生物質であるクラリスロマイシン+アモキシシリン(この組合せで除菌できなかった場合やクラリスロマイシンが使用できない場合はメトロニダゾール+アモキシシリン)の副作用・相互作用に注意が必要です。
 比較的多く現れる副作用としては,腸内細菌のバランスが崩れることによる下痢・軟便や味覚異常があります。出血を伴う下痢の場合は,すぐに処方医または薬剤師に連絡します。我慢できる程度であれば,7日間朝夕きっちりと服用しなければなりません。服薬忘れは除菌の失敗につながります。

◆その他
 メトクロプラミドでのシンドロームマリン(悪性症候群)や遅発性ジスキネジア,ドンペリドンによる錐体外路(すいたいがいろ)症状にも注意が必要です。

■薬剤師の眼
日本独自の薬が多い分野
 アメリカの製薬会社の一つメルク社が出版している書籍に,『メルク・インデックス』という薬の辞書があります。学生時代に薬学部の講義で,その本の読み方を習いました。アメリカを旅行していたときに,ニューオーリンズ郊外のショッピングモールにある本屋さんで,同じメルク社が発行している医学書である『メルク・マニュアル 16版』を見つけて,さっそく買ってきました。たしか35ドルくらいだったと記憶しています。米国の市民は5,000円以下で,こんなすばらしい本を手に入れられるのだと感心しました。
 その後発売された第17版(初版発売100周年記念の銘が刻印されています)で,消化性潰瘍治療薬の項をみてみます。薬物治療に使われる薬としてあげられているのは,ヘリコバクター・ピロリの除菌に用いられる薬剤を考慮しないと,H2ブロッカー,プロトンポンプ阻害薬(PPI),制酸剤,ミソプロストール,スクラルファート水和物のみが記載されています。日本で繁用されているテプレノン,レバミピド,セトラキサート塩酸塩,ソファルコン,トロキシピド,ベネキサート塩酸塩ベータデクス,イルソグラジンマレイン酸塩,ポラプレジンクなどの名前はでてきません。
 『薬事ハンドブック2021年版』(じほう発行)に掲載されている2020年度の消化器用薬剤の売り上げ推定額(先発品)によると,PPIは5品目で約2,100億円となっているのは薬の実力から考えて妥当なところです。
 しかし,レバミピドが44億円,テプレノンが20億円も売り上げているのに,スクラルファート水和物はランキング資料にも載っていません。外国では薬として許可されそうにないレバミピドやテプレノンのおそらく10分の1しか使われていないことに疑問を感じます。自分で使ってみて,「たしかにスクラルファート水和物はいい薬だなあ」と思っているだけに納得がいきません。

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