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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内06:呼吸器の薬
薬剤番号:内06-01-01~内06-06-03

■鼻,のど,気管支など呼吸器系の薬について説明します

◆いわゆる「かぜ薬」「せき止め」「花粉症の薬」に近い薬
 症状によって何種類かの薬を組み合わせて処方されることもあります。
◆ぜんそく,アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に用いる薬
*アレルギーの薬は,12章「皮膚科の薬」の皮膚アレルギーに用いられる薬に分類されているものもありますので,そちらも参考にしてください。

■副作用・相互作用に注意すべき薬

◆総合かぜ薬
 総合かぜ薬に含まれているのは,熱を下げたりのどの痛みなどを抑えるためのアセトアミノフェンやサリチル酸誘導体(アスピリンなど)と,鼻みずや鼻づまりを治すための抗ヒスタミン薬です。
 アセトアミノフェンが入っている場合は,血液障害に注意してください。原因不明の発熱・のどの痛み・紫斑・ひどい疲れなどは無顆粒球症の前駆症状かもしれません。こうした症状は,かぜの場合にもあるので,服用していてなかなか治らなかったり状態が悪化したように思ったら,処方医にそのことを知らせなければいけません。場合によってはセカンド・オピニオンを求めるというのも賢い選択肢です。
 アスピリンで注意しなければいけないのは,胃腸障害とぜんそく発作です。また,15歳以下の小児がウイルス疾患にかかっているときにアスピリンをのむと,脳炎様症状を呈するライ症候群になる可能性があるといわれています。
 抗ヒスタミン薬で注意しなければいけないのは,前立腺肥大症や緑内障の人が服用すると症状が悪化することです。これは抗コリン作用によるものですが,そのほかに,のどが渇いたり物がかすんで見えたりということもおこる可能性があります。それと眠けがくる薬剤が多いので,自動車の運転や危険な機械の操作には気をつけてください。

◆鎮咳薬(咳を鎮める薬)
 せきは肺や気管支に異常があることを示す生体の防衛反応の一つですので,むやみに止めるものではありません。しかし,人と話ができないほどせきがでたり,せきのために睡眠が妨害されるような場合には,鎮咳薬が処方されます。
 コデインリン酸塩水和物系の薬剤の場合は便秘,エフェドリン系薬剤の場合は血圧への影響を考えなければいけません。なかなか止まらないせきの場合には,肺がんを心配しなければいけませんが,薬によるものではないかと疑うことも必要です。有名なものとしては,高血圧治療に用いられるACE阻害薬ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)によるものがあります。

◆アレルゲン免疫療法薬
 アレルギー疾患の根本的な治療法として減感作療法(アレルギー疾患の原因となるスギ花粉やハウスダストなどを少量ずつ体内に入れることで過敏な体質を少しずつ慣らしていき,最終的にはアレルギー反応がおきなくさせる方法)があります。従来はアレルゲンを体内に入れる方法は皮下注射だったので,必ず通院が必要でした。2014年に投与経路として舌下に含ませる薬が保険収載され,新たな選択肢が生まれました。
 しかし,元々アレルギーをおこす物質を体内に入れるわけですから,段階を踏んでの増量が必要です。間違って過量に服用すれば大変危険です。指示された用量は必ず守らなければいけません。

■薬剤師の眼
大半がOTC薬でも用いられている成分
 この章に含まれる総合かぜ薬,鎮咳薬,去痰薬の大半は症状を一時的に緩和する対症療法薬で,市販のOTC薬(大衆薬)に用いられている成分と同じものがいくつもあります。つまり,OTC薬でも対応できる分野といえます。
 実際,筆者のまわりでOTC薬を取り扱っている薬剤師仲間で,軽いかぜ症状を抑えるために用いる薬は10人が10人,OTC薬です。それも基本は休養と栄養で,仕事などで休めない場合にしか用いないケースが半数でしょうか。
 もちろん,インフルエンザの流行期に発熱した場合や感染症を伴う場合など,受診が必要なときもあります。どこまでなら様子を見て,どこまでならセルフメディケーションで対応し,受診するのはどのタイミングなのかなどを,普段からかかりつけの医師や薬剤師に相談しておくのも大事なことです。

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