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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内05:その他の循環器系の薬
薬剤番号:内05-01-01~内05-07-01

■内服03、内服04に分類されない循環器・血液の病気に用いる薬を説明します

◆閉塞性血管障害・冷え性などに対して末梢血液循環をよくする薬
◆頭の外傷や脳梗塞後の脳循環を改善するとされる薬
◆コレステロール(特に悪玉コレステロールといわれるLDL)や中性脂肪(トリグリセリド)が高いときに用いる高脂血症治療薬(脂質異常症の薬)
◆アルツハイマー型などの認知症に用いる薬
◆パーキンソン病,パーキンソン症候群の薬
◆血液をサラサラにして脳梗塞や心筋梗塞の治療・予防に用いる抗凝血(ぎょうけつ)薬・抗血小板薬

■副作用・相互作用に注意すべき薬

◆高脂血症治療薬(脂質異常症の薬)
 血中のコレステロール値や中性脂肪値を下げるためには,フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬が主力として使われています。いま世界中で一番多く処方されているのがHMG-CoA還元酵素阻害薬といわれています。これらを使用するときに最も注意すべき副作用は横紋筋(おうもんきん)融解症です。
 筋肉のしびれや痛み,脱力感,手足に力が入らない,尿が赤褐色になるなどの初期症状が出てきたら,服用をやめてすぐ処方医に連絡をとってください。腎機能障害がある人,上記の2種類の薬を併用している人に現れやすいとされています。横紋筋融解症以外の重大な副作用として,フィブラート系薬剤では無顆粒球症に,HMG-CoA還元酵素阻害薬では肝機能障害に気をくばる必要があります。

◆パーキンソン症候群の薬
 いろいろな種類がありますが,いずれにも共通する重大な副作用に,急激な減量や服用を中止したときにおこる悪性症候群があります。これは次のような状態をさします。言葉が少なくなって顔の表情がなくなり,ものがのみこみにくかったり,からだの筋肉が極度にこわばったりします。また,脈が速くなったり汗が出たりという状態になることもあります。その場合にはからだを冷却して,十分な水分を補給してください。その上で必ず処方医に連絡することが大切です。

◆抗凝固薬(血液凝固を防ぐ薬)
 ワルファリンカリウムにはさまざまな薬品・食品との相互作用があり,また,服薬量の調節が難しいケースも多いため,長年替わりとなる薬の開発が求められてきました。2011年以降に保険収載された新しい経口抗凝固薬(非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬「NOAC」)にはワルファリンカリウムのような頻回の血液検査が不要で食事制限も必要ないため,処方される機会が増えています。しかし,薬の効果と裏腹な出血リスクはどの薬にも共通しています。また,副作用として間質性肺疾患の記載があり,せきが続くような場合は,早期に医師に報告する必要があります。
 クロピドグレルは同類のチクロジピンに比べ安全性(血栓性血小板減少性紫斑病のリスク)が向上したことでよく処方されますが,出血に対するリスクは変わりません。アスピリン同様,消化器潰瘍や消化管での出血には注意が必要です。
 抗凝固薬,抗血小板薬は,いずれも外科的手術の際には服薬を一時中止するケースがあります。出血のリスクと梗塞のリスクを考慮した中止のタイムスケジュールが組まれるので,それに従わなければなりません。

■薬剤師の眼
「効果がない」ため発売中止となった薬が多い分野
 『医者からもらった薬がわかる本』が1985年に初めて出版されたときから,この章に含まれている血液循環改善薬や脳代謝賦活薬の一部の薬剤については,きびしい批判をしてきました。本書の古い版(1990年代)をお持ちの読者は,最新版と見比べたときに,いかに多くの薬が本書から姿を消しているかに驚きを感じられるものと思います。姿を消した薬の海外評価が低かったことも読みとってください。そのように効果がないからという理由で許可が取り消された薬品のなかには,多い年には年間300億円以上の売り上げを上げていたものもあったのです。
 1980年代半ばでは,処方せんを発行する医療機関はまだほんのわずかでした。薬についての解説本が出版されることで,一般の方々が薬についての知識を持てば医薬分業が進むであろうというのが,本書出版の大きな狙いの一つでした。現在では医薬分業の進展率も75%を超えています。しかし,日本の薬は私たちが期待したほどよくはなりませんでした。『98年版』以来,本書の最大の目的を,一般の患者が自分の服用している薬の世界的評価を知ることにより,日本の薬が欧米先進国並みによくなることに置き換えたのです。患者さんは,有効性に対する証拠がはっきりしている薬剤を処方される権利を持っています。

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医者からもらった薬がわかる本