内02:精神神経科の薬
薬剤番号:内02-01-01~内02-06-07
■中枢神経(脳・延髄)に直接作用して効果を現す薬について説明します
◆一般に睡眠薬,精神安定剤と呼ばれる薬(不眠症や不安に用います)
◆統合失調症,躁(そう)うつ病,うつ病の薬
◆てんかんの薬
◆注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の薬
■副作用・相互作用に注意すべき薬
◆催眠薬・精神安定薬
いずれもベンゾジアゼピン系の薬剤が主に使われます。比較的副作用も少ないということで,かえって安易な使われ方をされているかもしれません。
ベンゾジアゼピンの最大の欠点は「依存性」です。外国ではこの依存症は医師がつくっているといわれるくらいで,患者は気づかないうちに薬がないと不安が増したり,眠れなくなるという状態に陥ってしまいます。それを防ぐためには意識してこの薬から遠ざかる努力が必要です。
また,めまい・ふらつき・眠けなどがおこることがありますが,特にアルコールとの併用は効果が増強されたりするので危険です。
◆けいれん・てんかんの薬と統合失調症の薬
精神科で処方され長期間にわたって服用することが多いので,ある程度の不都合は覚悟しなければなりませんが,肝機能障害や血液障害は時として命にも関わる場合があるので,検査を定期的に受ける必要があります。
また,統合失調症の薬に共通している副作用として,シンドロームマリン(悪性症候群)と遅発性ジスキネジアがあります。当人は気づかないこともありますので,家族など周りの人たちが注意して見守っていることが大切です。
■薬剤師の眼
価格の高い睡眠薬がよく効くわけではない
精神安定薬への依存から抜け出られなくて苦しんでいる人をときどき見かけます。しかし,いくら安全な薬とはいえ一生涯つき合わなければならないなんて考えものです。症状が軽くなっている場合は,処方医の指導のもとに思い切ってのむのをやめてみませんか。禁煙に成功された方なら,そんなに難しいことではないかもしれません。
睡眠薬も毎晩ぐっすり寝ようなんて欲ばらないで,眠れない夜も人生の一局面だという開き直りも,薬と上手につき合うためには時として必要です。
ベンゾジアゼピン系催眠薬のクアゼパムの薬価が,他の同効薬に比べて極端に高いのは納得がいきません。(外国での価格を参考にしたとのことですが,効果はあまり変わらないので,そんなに高い薬の処方は皆で拒否してもよいと思います=患者の権利)
高い薬が処方されれば,患者の負担も増えます。効き目と価格を比較することが可能になるという点からも欧州各国で実施されている,いわゆる「参照価格制度」は,患者の情報収集という観点からも望ましいものだといえます。患者主体の薬物療法を推し進めていくためには,早く日本でも導入すべきだと思います。