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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内13:その他の薬
薬剤番号:内13-01-01~内13-09-27

■薬効別の区分が難しい薬や,特異と思われる疾患の治療薬について説明します

◆緑内障の内服治療薬
◆めまいや吐きけの薬
◆回虫や,いわゆるサナダムシなどの寄生虫駆除薬
◆熱帯では毎年数億人が発症するマラリアの治療薬
◆臓器移植時の免疫抑制薬
◆エイズ治療薬,そのほかの抗ウイルス薬
◆先天的な代謝異常症のウイルソン病や高フェニルアラニン血症などの治療薬
◆男性型脱毛症治療薬,禁煙補助薬,アルコール依存症用薬など

■副作用・相互作用に注意すべき薬

 01の眼科の内服薬から03の代謝性薬剤を除くと,特殊な病気に使用される薬がほとんどですので,場合によっては副作用を覚悟の上で使われる場合もあります。しかし,その場合でも患者としてはおこりうる副作用をあらかじめ頭の中に整理しておいて,それがおこった場合には直ちに医療関係者に連絡をとるようにすることが,患者の責任ということになります。
 希少疾患に対する薬剤がいろいろ承認されてきましたが,なかには効き目がそれほどはっきりしていなくても,ほかに選択の余地がないため使い続けられているものもあります。対象患者数も少ないため当然臨床試験のデータ数も少なく,副作用や相互作用のデータもいろいろ漏れがあるのが現実です。服薬日誌をつけるなどして普段から自身(介護している人であれば要介護者)の観察を続けることが,副作用・相互作用の早期発見につながります。

■薬剤師の眼
有用性に疑問のある薬が多く残っている
 この章で取り扱っている薬のうち,かなり以前から使われているアミノエチルスルホン酸,アデノシン3リン酸2ナトリウム水和物,アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット)などの外国における評判は芳しいものではありません。
 イギリスの医薬品集『マーティンデール』は,全世界で使われている医薬品を網羅していることで有名です。私たち薬剤師が医薬品に関する情報を勉強する際には,必ず座右に置くべき書とされています。その本は54の章からなり,一般的な薬,広く使われていたり,かつては広く使われた薬が治療目的別に53の章に分けられて記載されています。54番めの章は以前はパートⅠと呼ばれた1章〜53章と区別してパートⅡとされていましたが,「補助的に使用される薬品」で普遍的には使われていない薬が集められています。この54章に出てくる薬は,私たちの過去の経験からいうと,あまりよい薬とはいえません。
 『マーティンデール』の2011年発行第37版で前記の薬品を調べてみると,主要な薬品パートに名前が出てくるのはエパルレスタットだけです。また,製品として名前があげられているのは日本のものだけで,他の国では売られていません。
 なぜ,それが主要な薬品に入っているのかと考えると,かつてアイルランドやイタリアで使われたことのあるトルレスタットという薬に近い薬だからです。どのような理由で使われなくなったのかはわかりませんが,それらの国では現在販売されていないことを考えると,それほど有用性のあるものとも思えません。
 エパルレスタット以外では,すべての薬剤が54番めの章に入っています。1998年に有効性に疑問を持たれて販売が中止されるまで,認知症の薬として年間何百億円もの売り上げをあげていた,イデベノン,塩酸インデロキサジン,ビフェメランなどもすべて54番めの章に掲載されていることからみても,こうした薬を保険給付の対象として残す必要はないのではないかと思います。次から次へと出てくるジェネリックの品揃えで悲鳴をあげている,門前薬局ではない一般の保険薬局の薬剤師も,同じような想いでいるだろうと推察できます。

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