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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内08:肝臓・膵臓・胆道・痔の薬
薬剤番号:内08-01-01〜内08-05-03

■肝臓,胆嚢,膵臓に関連した薬と,痔の飲み薬について説明します

◆肝硬変・肝炎(ウイルス性,薬物性,アルコール性など)に用いる薬。治療の基本は安静,規則正しい生活,栄養バランスです。ここで取り上げる薬は,抗ウイルス薬以外では栄養を補う程度の意味しかありません。
◆B型肝炎ウイルスを抑える薬
◆C型肝炎ウイルスを抑える薬
◆胆石のけいれん性の痛みを抑える薬,コレステロール系胆石を溶かす薬
◆痔ののみ薬

■副作用・相互作用に注意すべき薬

 特に重い副作用が心配される薬剤はあまりありませんが,チオプロニンによる間質性肺炎(初発症状:発熱・空せき・呼吸困難など)や無顆粒球症(初発症状:発熱・のどの痛み・倦怠感・皮下や粘膜の出血など)には注意が必要です。
 また,薬草の一種「甘草(かんぞう)」の成分であるグリチルリチンを含む製剤も,慢性肝疾患における肝機能改善を目的に使われますが,偽アルドステロン症(低カリウム血症,血圧上昇,ナトリウム・体液の貯留,むくみなどの症状を伴う)や,横紋筋(おうもんきん)融解症(脱力感,筋力低下,筋肉痛,手足のけいれん・麻痺などを伴う)などの重大な副作用が報告されています。

■薬剤師の眼
薬をたくさん処方する医師はよい医師か?
 日本で使われている肝臓用薬剤(抗ウイルス薬を除く)は,動物実験で肝臓機能検査値(トランスアミナーゼ値〈=AST, ALT〉やアルカリフォスファターゼ値〈=AL-P〉)を改善することが知られていますが,原因となっているウイルスに作用するわけではありません。
 以前から使われていたプロトポルフィリン2ナトリウム,アスパラギン酸製剤,肝臓加水分解物,グリチルリチン製剤はもちろん,グルタチオンや比較的最近になって開発されたプロパゲルマニウムなども,欧米では薬として許可されていません。アメリカの医薬品集として有名な『PDR(Physicians' Desk Reference)』の62版(2008年発行)まではチオプロニンが名前だけは載っていましたが,63版(2009年発行)からはみあたりません。
 このように外国では評価(許可)されていないものが,日本で薬として許可されている原因はどこにあるのでしょうか。考えられることは,①許可の基準が甘い,②医師の処方に対する考え方,③患者が薬を多く処方する医師を親切だと考えていることなどを挙げることができます。
 患者として日本のこういう状況でできることは,もちろん③のように考えないことです。「薬をたくさん出してくださるお医者さん」を親切だなんて考えてはいけません。少ない薬で病気を治す医者こそ名医です。『ドクターズルール425』(クリフトン・ミーダー著 福井次矢訳:南江堂)に書かれている次の言葉を噛みしめてください。
 「4種類以上の薬をのんでいる患者についての比較対照試験はこれまでに行われたことはなく,3種類の薬をのんでいる患者についての試験もほんのわずかしか行われていない。4種類以上の薬をのんでいる患者は医学の知識を超えた領域にいるのである」

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