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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内12:皮膚科・泌尿器科の薬
薬剤番号:内12-01-01〜内12-02-12

■さまざまな皮膚疾患に用いる内服治療薬,泌尿器科用内服薬を説明します

〈皮膚科用薬剤〉
◆湿疹やじん麻疹の薬,アレルギーの薬,水虫の内服薬など
◆ヘルペスウイルスが原因の帯状疱疹に用いる薬
〈泌尿器科用薬剤〉
◆尿路結石や排尿障害,頻尿・尿失禁に用いる内服治療薬
◆勃起不全の治療薬(保険適応外です)

■副作用・相互作用に注意すべき薬

◆皮膚科用薬剤
 尋常性白斑の治療には,メトキサレンを内服して2時間後に日光浴をしたり,人工の紫外線を照射したりします。光線アレルギーがおこりやすいピリドンカルボン酸系薬剤(ニューキノロン系抗菌薬を含む),テトラサイクリン系抗生物質,サルファ剤,チアジド系利尿薬,フェノチアジン系薬剤などとの併用には気をつけてください。
 また,この薬を服用しているときに,フロクマリンを含んでいるセロリ,ライム,ニンジン,パセリ,イチジク,アメリカボウフウ,カラシなどをとると,光線アレルギーが助長される可能性がありますので注意が必要です。
 内服で白癬に有効なテルビナフィン塩酸塩とイトラコナゾール深在性真菌治療薬は,最近よく処方されます。この薬では重い肝機能障害がおこることがあります。発熱・悪心・嘔吐・食欲不振・倦怠感・発疹・かゆみなどを感じたら,すぐに肝機能検査を受けてください。
 また,汎血球減少症,無顆粒球症,血小板減少症なども報告されています。原因不明ののどの痛み・発熱・皮膚や粘膜からの出血・ひどい疲れなどは,こうした血液疾患の前駆症状かもしれませんので,すぐに処方医に連絡をとってください。
 エトレチナートも副作用に注意が必要です。スイスのロシュ社が開発した薬で,かつては英米独仏いずれの国においても使われてきましたが,現在は日本だけで許可になっています。ビタミンAの誘導体ですから,催奇形性に注意をはらうことが大切です。
 また,動物実験で精子形成能に異常をおこすことが報告されていますので,男性が服用するときも,服用中はもちろん服用を中止してからも6カ月は避妊することが大切です。

◆抗ヒスタミン薬
 最大の副作用は眠けです。花粉症治療のために服用した抗ヒスタミン薬のせいで,車の運転中眠くなって弱ったなんてことになりかねません。夜間の服用はぐっすり眠れたりして好都合ですが,昼間は注意が必要です。最近では眠けが少なく,作用時間が長い製剤が売り出されています。

■薬剤師の眼
拡大する泌尿器系の薬剤市場
 高齢化に伴い,男性の前立腺炎や排尿困難,あるいは神経性の頻尿などの治療薬が大きな市場になろうとしています。植物の花粉や胚芽などのエキスであるセルニルトンやエビプロスタットなど,使われるようになってからずいぶん時間が経っている薬もまだ使われています。
 オキシブチニン塩酸塩,フラボキサート塩酸塩,プロピベリン塩酸塩など抗コリン作用がある薬剤のうち,前二者は欧米諸国においても発売されていますが,プロピベリンはアメリカとフランスでは使われていません。日本では1日1回の服用というのが受けたこともあり,2021年でも年間9億円(先発品)を売り上げています。
 一方で,2006〜2007年に過活動膀胱治療薬として3種類の新薬が相次いで承認されました過活動膀胱治療薬(1)。その後,追加されたものを含めた計7種類を合わせると,2022年の推計売り上げは約885億円です(じほう発行『薬事ハンドブック』2023年版)。過活動膀胱という概念もまだ最近のものですが,今まで「歳のせい」としてきたことが病気と認識されたこととなります。
 治療で良くなるのであれば素晴らしいことですが,実態は今まで使用されてきた抗コリン作用薬を大幅に超えるものではなさそうです。もちろん,抗コリン作用のある薬は,眼圧亢進・緑内障,便秘やイレウス,尿閉などの副作用も心配しなければなりません。

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