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ポケットメディカ 処方薬事典
概要

内01:痛み・炎症・熱の薬
薬剤番号:内01-01-01~内01-06-07

■一般に痛み止め,熱さましとして用いる薬を中心に説明します

◆頭痛,歯痛,腰痛,生理痛,神経痛,咽頭痛,外傷痛などの鎮痛,発熱時の解熱に用いる薬
◆片頭痛に用いる薬
◆リウマチや痛風の治療に用いる薬
◆筋肉のこわばりや麻痺から生じる痛みに用いる筋弛緩薬(きんしかんやく),骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に用いる薬
*リウマチの注射薬については「在宅で管理する注射薬」の抗リウマチ注射薬抗リウマチ注射薬をご覧ください。

■副作用・相互作用に注意すべき薬

 全般的な注意としては,アレルギーに気をつけなければいけません。ちょっとした頭痛を治すためにのんだ非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAID)で,ひどい皮膚炎をおこしたら大変です。アレルギーを経験したら,どのような薬でどんな反応があったのかをきちんと記録(「お薬手帳」などに)しておくことが大切です。

◆非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAID)
 副作用としての重い血液障害の初発症状は,原因がわからない発熱・のどの痛み,紫斑,ひどい倦怠感などです。肝機能障害も発熱・倦怠感・食欲不振などの症状が最初にでます。この二つの副作用の初発症状は,かぜの場合とよくまちがわれます。薬を使っていて,かぜをひいたかなと思ったときには,血液か肝機能の障害を疑ってみることが必要です。ぜんそくがある人は,NSAIDを服用することで悪くなる場合があります。消化性潰瘍もNSAIDの禁忌症(のんではいけない症状)です。
 薬ののみ合わせ(薬物相互作用)の有名な組み合わせの一つに,ニューキノロン系抗菌剤ニューキノロン剤とNSAIDを同時に服用した場合の“けいれん”があります。かぜのときなどに同時に処方される可能性が高い組み合わせなので,服用後に“めまい・ふらつき・手足のしびれ・頭痛・ふるえ・一時的な意識喪失”などを感じたら,直ちに処方医または薬剤師に連絡してください。このようにNSAIDは副作用の総合商社です。ちょっとした痛みや発熱にだらだらとこれらの薬を使わないようにしましょう。

◆片頭痛の薬
 片頭痛に使われる薬は4種類です。ライ麦に発生するカビの菌核成分バッカクの誘導体であるエルゴタミン酒石酸塩,フェノチアジン系のジメトチアジンメシル酸塩,1999年に発売された塩酸ロメリジン,そして2001年に発売されたセロトニン受容体作動薬です。エルゴタミン酒石酸塩は広くどの国でも使われていますが,ジメトチアジンメシル酸塩や塩酸ロメリジンは英米独仏のいずれの国においても使われていません。欧米でも使用されていて最近日本でも発売されたセロトニン作動薬は,価格がとても高くなっています。
 エルゴタミン酒石酸塩は過量に服用すると,吐きけ・しびれ・皮膚の刺すような痛み・チアノーゼ・傾眠・けいれん・昏迷などが現れることがあります。また,長期に使用していて急に服用を中止すると,かえって頭痛が強くなることがあります。

◆リウマチや痛風の治療薬
 疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD:ディーマード)は,効果の発現には時間がかかるものが大半です。この系統の薬は,血液障害,腎機能障害,肝機能障害などに気をくばることが求められます。また,発熱・せき・呼吸困難などがでてきたら間質性肺炎を疑う必要がありますので,早急にX線検査などを受けてください。
 尿酸排泄薬(痛風治療に用いる)のベンズブロマロンは劇症肝炎を含む重い肝機能障害の発生が報告されています。尿酸合成阻害薬にも,血液障害,間質性肺炎,腎不全などの重大な副作用が報告されています。

■薬剤師の眼
自主回収された消炎酵素薬—有効性に疑問がある薬はほかにもある?
 2011年2月,以前から本書でまっさきに減らしたい「きわめて日本的な薬」と指摘してきた抗炎症薬(消炎酵素薬)の一つセラペプターゼが,開発メーカーにより自主回収されました。医薬品の再評価において実施された臨床試験で,プラセボ(偽薬)との間に有意差が認められなかったことによります。40年以上にわたり使用されてきた薬品の,あまりに日本的な幕引きです。承認した国,利益を得てきた製薬会社は,このことにどのような責任を取るのでしょうか。減少していたとはいえ,2009年度の販売額は67億円といわれています。あまりにも国民を馬鹿にした話です。
 60歳を過ぎたご婦人の処方にアルファカルシドールやイプリフラボンが書かれていることがよくあります。前者はアメリカでは使われていませんし,WHOのエッセンシャル・ドラッグにも入っていません(参考:『世界のエッセンシャル・ドラッグ』浜六郎・別府宏訳三省堂)。後者にいたっては英米独仏いずれの国でも薬になっていません。また,前者はかつて「入院医療管理承認病院(点数まるめ)実態調査」で,1年前に比べて使用量が30分の1に激減したという報告があることからも,有効性のエビデンス(証拠)を今一度再チェックする必要があると思われます。

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